第87回口頭弁論
今回も大阪地方裁判所の大法廷で、新規提訴者の訴状や答弁書の陳述といった作業を行った上、原告による意見陳述を実施しました。
今回、裁判期日で意見陳述された方は、キャリア患者の方でした。感染自体は最近になってわかった方でしたが、出産時に病院で看護師達からうけた差別的言動が、非常に強く記憶に残っていらっしゃいました。このため、B型肝炎に感染していることがわかったことで、出産時の病院での差別的言動の原因がB型肝炎に感染していたことにあったと思い当たったそうです。元来、何でも前向きに受け取る明るい性格の方ですが、今でも当時看護師さんから言われた言葉を覚えておられ、法廷でも具体的に述べてくださいました。この方は、兄が癌でお亡くなりになったこともあり、自分自身も将来癌にならないか日常生活の中で不安を感じていることも訴えられました。
期日の後、大阪弁護士会館にて、Web参加もあるハイブリッド形式で報告集会が開催されました。報告集会では、Web参加の方も含めて交流会も開催され、参加者が和気藹々とした雰囲気の中で交流し、次回も会いましょうという合い言葉の下、報告集会を無事に終えることが出来ました。
第86回口頭弁論
前回の期日に続き、今回も大法廷で弁論が開かれました。猛暑の中にもかかわらず、前回よりもたくさんの方々に傍聴にお越しいただきました。今回の弁論期日では、慢性肝炎で除斥期間が経過しているとの指摘を受けている原告4284番さんが意見陳述し、原告4284番さんのような除斥期間が経過しているとの指摘を受けている原告さんを広く救済すべきとの弁護団意見陳述を行いました。
原告4284番さんは、二次感染者です。出生時に母子感染防止措置を講じたものの、うまくいかずにHBs抗原が陽性となってしまいました。お母様は、出生後定期的に医療機関へ連れて行って、肝炎発症の有無を確認されておられました。その後、社会人2年目から肝機能数値が悪くなり、20年以上もの間慢性肝炎の治療が続きました。インターフェロン治療が終わるたびに肝機能数値が悪くなり、再びインターフェロン治療を行うことを複数回繰り返しました。治療の副作用にも悩まされ続け、ついに20代後半で、核酸アナログ製剤を服用するという選択をせざるを得ませんでした。核酸アナログ製剤服用後にセロコンバージョンした後も、再び肝機能数値が悪くなり、異なる核酸アナログ製剤に変更後、ようやく肝機能数値が落ち着くようになりました。このような過酷な治療を長期間にわたって受け続けたにもかかわらず、除斥期間が経過したことを理由として支給額が減額されることは理不尽極まりなく、ご自身のような原告を広く救済するべきであることを訴えられました。
弁護団からは、原告4284番さんの担当弁護士が、過酷な治療を受け続けてきた原告4284番さんをはじめ、同様の境遇に置かれている原告の方々を可及的早期に救済すべきだと訴えました。
裁判後は、期日報告集会をハイブリッド形式で開催しました。前回期日よりもたくさんの方々にご参加いただき、前回の期日以降の様々な活動、各府県における世界肝炎デーに行われる事業等が報告されました。報告後は、原告団・弁護団を交えた交流会を行いました。新型コロナウイルス感染症の第5類感染症に移行された直後の前回期日以降より、少しづつ参加いただける方が増えていき、再び悩みや不安を分かち合える場になればいいなと考えています。