B型肝炎訴訟とは
弁護団長あいさつ
B型肝炎大阪訴訟弁護団(代表)弁護士 長野真一郎
「45万人」の被害者のみなさんへ
あなたの肩には予防接種のときについた注射の痕(あと)が残っていませんか。
昭和23年から昭和63年頃まで、わが国の集団予防接種では「注射器の使い回し」が続けられていました。そのために、昭和16年7月以降昭和63年頃までに生まれたわが国の国民・住民のうち、45万人以上が集団予防接種のためにB型肝炎ウイルスに感染したと言われています(厚労省の提訴可能な被害者数の推計。)
集団予防接種は感染症の拡大防止のために国が法律で国民・住民に強制したものでした。ところがその予防接種が戦後最大級の感染症を拡大したのです。国は、この感染拡大の危険性を戦後早くから知っており、昭和28年にはWHOから警告を受けていたのに放置していたのです。国に法的責任があることは、平成18年の最高裁判決で明確になっています。
昭和63年に国が厚生省通達で禁止するまでは、全国民・住民がこの危険な集団予防接種の対象にされていました。ですから、現在感染が判明していない人も含めて、誰しもが、被害を受けている危険性があるのです。感染したみなさんと、感染しなかった人の違いは、たまたまの偶然でしかありません。
ところが、被害者のうち、現在までに提訴した人は全国で約1万5000人(45万人のわずか3%程度)でしかありません。近畿・徳島関係では人口比では7万7000人の被害者がいることになるのに、提訴した人は約3000人(同じく3%程度)でしかありません。
B型肝炎は放置しておくと肝硬変・肝がんを発症してしまう深刻な病気です。未発症のまま突然肝がんを宣告された患者さんもおられます。一方現在では症状をコントロールできる治療効果の高いとされる薬もできています。1人でも多くの方が一生に一度は肝炎検査をうけ、早期判明・早期治療に踏み出せることを願っています。
2011年6月、国は被害者全体に対する法的責任を認めて、全国B型肝炎訴訟原告団及び全国B型肝炎訴訟弁護団との間で、①被害者の個別救済と②肝炎患者に対する恒久的対策を約束した「基本合意」を締結しました。
私たち大阪弁護団は、「基本合意」を締結した全国B型肝炎訴訟弁護団の一員として、近畿・徳島にお住まいの方の個別救済の相談・提訴・和解手続を行っています。同時に、原告団のみなさんと一緒に、肝炎患者が安心して治療をうけ生活を送ることができる社会となるように恒久的な対策の実現を求めて、日々活動しています。
平日は毎日弁護団事務室で、弁護士が直接ご相談をお受けする電話ホットラインを開設しています。もしかしたら自分も…と思う方がおられたら、一度電話でご相談ください。