私たち原告団からのおねがい
あなたにも関係があるB型肝炎のお話です
皆さんが幼い頃に受けた集団予防接種で、注射針や注射筒の使い回しが行われていた…それは、残念ながらそう昔のことではありません。この冊子を手に取って頂いているあなたや、あなたの大切な人がB型肝炎ウイルスのキャリアになる可能性があったのです。そして、現実に多くの人がB型肝炎のキャリアとなり、かけがえのない健康や家族を失いました。手記集「いのちの叫び」でご紹介したのは、その中のほんの一部に過ぎません。
「もしかしたら、自分もB型肝炎ウイルスに感染しているかもしれない」
「もしかしたら、自分もキャリアになっていたかもしれない」
「もしかしたら、自分の大切な人もキャリアになっているかもしれない」
…ということを、どうか忘れないでください。
もしあなたがB型肝炎に感染しているかわからないときは
これまでに、あなたがB型肝炎ウイルスに感染しているかどうか検査を行ったことがない場合、必ず一度はウイルス検査をしてみることをお勧めします。国の推計(2005年)では、日本で約90万人の方がB型肝炎ウイルスのキャリアでありながら、自身でキャリアであると認識していないとの調査結果があります。
そしてB型肝炎の病気の特徴は、自分がキャリアであるかを一日も早く認識し、治療や経過観察をはじめることが病状の悪化を防ぐともいわれています。そのため、国もウイルス検査を勧めており、保健所や市、保健所から委託された医療機関などで検査を実施しています。無料で実施できる場合もありますので、ウイルス検査の受診をご希望の方は、最寄りの保健所や市役所にお問い合わせください。
B型肝炎のキャリアであるとわかったら
肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、病気が進んでいても自覚症状が現れにくいという特徴があります。そのため、自覚症状が現れて病院に行ったら、すでに肝硬変、肝がんなどに進行してしまっていることがあり得るのです。また、B型肝炎ウイルスの場合、キャリアの方が、慢性肝炎や肝硬変を経ずに肝がんを発症することもあります。ですから、自覚症状のあるなしに関わらず、B型肝炎のキャリアとわかったら肝臓専門医のいる医療機関を受診しましょう。必ず医師の指示に従い、定期的に受診して、肝臓の状態が悪化したらすぐに治療をはじめられるようにしてください。気がついたときは遅かった…という私たち患者に起きた悲劇を繰り返さないことが大切です。
同僚や友人、家族など、身近な人がキャリアであるかもしれないと思ったら
これまで、多くのB型肝炎キャリアの方は、自分がキャリアであることを知られないように暮らしてきました。集団予防接種のときに注射器が連続使用されて感染が広がったことなど、B型肝炎について正しい知識が広まっていなかったため、誤解と偏見から差別を受けることを強く恐れて口を閉ざしてきたのです。病気と闘いながら、その苦しみを周囲に告げられないということはとてもつらいことです。
また、中には洗濯物を分けられたり、食卓で食器を分けられたり、お風呂を最後にされたという話を耳にしますが、そうしたことで感染はしません。必要もないのに自分だけが違う扱いを受けることで、これまで多くの方が傷つき、より孤独感を深めてきました。
あなたが、あなたの周囲の人から、もしキャリアであると告げられたら、おそらくその人は勇気をもってあなたに告げたのだと思います。正しい知識を持ち、病気に対する偏見なくその勇気を受け入れてください。
私たちは、B型肝炎患者が病気のことを当たり前に話せる、一人で泣くことのない社会になることを強く願っています。